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行動分析学とは

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行動分析学(Behavior Analysis)とは、1930年代にB. F. Skinner(スキナー)によって創始された学問です。その研究対象はヒトを含む動物の行動で、行動を分析し原因を明らかにして法則性を見出そうとする科学です。ただし、行動分析学が行動の「原因」を説明する際、「このような説明はしない」という3つのレベルの説明があります。それらは、①神経生理的な説明 ②心的な説明 ③概念的説明の3つです。

①は、例えば「チックは脳のある部位の異常活動によって起こる」とするような説明です。チックに先行して脳の部位の異常な活動が判明したとして、今度は「その異常活動はなぜ起こるのか?」という説明が必要になります。これは発達障害のお子さんや大人に対してもよく使われる説明ですよね。「発達障害の人は、脳の●●という部分が他の人に比べて機能しにくい」などという表現は、発達障害の行動の説明として、具体的な対策が出て来ないならふさわしくありません。
②は、例えば「おもいやりの心があれば、人を叩くことはできないはず(つまり、人を叩くのはおもいやりの心がないから)」などの説明です。教育場面ではまだまだこのような説明が横行していますね。心を行動の原因としてしまうと、では「おもいやりの心はどうしたら育てられるのか?」という説明が必要になります。そしておもいやりの心を育てるために一貫性のない道徳教育が行われています(先生たちの間でも、何をどう教えればいいのか、行動なのか、心なのか、それとも他の何かなのか迷いがあると思います)。
③は、例えば「サッカーがうまいのは天性の才能だ」など、何か秀でていることを才能やセンスといった構成概念で説明してしまうような記述です。「嫉妬の塊が彼を犯行に駆り立てた」という表現も、犯罪を犯すという行動の原因が嫉妬の塊という構成概念によって説明されています。何かが上手な理由を「才能」や「センス」としたり、犯罪の理由を「嫉妬の塊」や「殺しへの興味」としてしまうと、何か説明できた気にはなるかもしれませんが、今度は才能やセンスを身につける方法や嫉妬の塊が出来上がった理由を説明しなければいけません。ちなみに「ストレス」も実態がない構成概念です。あたかもストレスという物質でもあるのか?と思えてしまうほど当たり前のように扱われていますが、「ストレスから(悪いことを)した」と言う場合、具体的には何に対して、どのような状況をストレスと読んだのか、行動した結果どうなったのか?について追求する必要があります。

それぞれの説明は「循環論」とされています。一方が一方の原因になるが、その逆もまた成立してしまう場合です。「私、潔癖だから〜」とか「完璧主義だから〜」という表現も全て循環論で、行動の原因を説明してはいるのですが、実際には新しいラベルを作ることで説明しているかのように錯覚させているだけなのです。行動分析家であっても日常生活の中でこれらの表現全てを避けているわけではありませんが、行動の原因の説明としては有用ではないのです。

では、行動分析学ではどのような行動の原因を想定するのか?

理解しがたいかもしれませんが、「行動の直後の環境の変化」というのが行動分析学が考える行動※の原因です。さらに詳細については、下の参考文献をあたってください。ちなみに行動分析学が脳科学や生理学、遺伝的影響を否定しているわけではありません。

※行動分析学が主に対象とする行動はオペラント行動と呼ばれています。他にレスポンデント行動と呼ばれている行動(いわゆる反射反応等)も対象としていますが、こちらは直前の刺激によって誘発される反応(行動)です。

参考・引用文献
・杉山尚子 (2005) 行動分析学入門-ヒトの行動の思いがけない理由 集英社
・杉山尚子・島宗理・佐藤方哉・R.W.マロット・M.E.マロット(1998)行動分析学入門 産業図書

さらに行動分析学について学びたい方は、文献紹介&リンクのページも参照してください。