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集団随伴性

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集団随伴性とは、集団に属する個人の行動に基づいて、集団全体をマネジメントするために用いられる強化随伴性を指します(Litow & Pumroy, 1975)。

集団随伴性といっても、大きく分けると「依存型(dependent group-oriented contingency)」「相互依存型(interdependent group-oriented contingency)」「非依存型(independent group-oriented contingency)」の3種の研究があるようです。「非依存型」というのは、ほとんど個人の随伴性操作であり、集団随伴性の定義からしても同じように分類してよいのか疑問符が残ります。いずれにしても実践研究は学校内で行われているものがほとんどです(成人の禁煙プログラムに集団随伴性を適用した研究など限られています)。以下の分類と例は、Litow & Pumroy, (1975); Little, Akin-Little & O’Neill, (2015).を参考にしています。

依存型:集団内の特定の個人の行動によって、集団全体に強化子を与える。例えば、クラス全体に「A君が算数のテストで80点以上をとった場合に、クラスの全員に自由時間を15分与える」という随伴性。そのクラスの子に15分の自由時間が与えられるかどうかはA君の成績に依存する。

非依存型:集団全体に対して同一の随伴性を適用するが、強化子が与えられるのは基準を満たした個人だけであり、お互いの成績はお互いに影響を与えない。つまり、個別の随伴性と同じであるが、集団に対して同じ標的行動、同じ随伴性、同じ強化子が適用される点が個別の随伴性とは異なる点である。例えば、あるクラス全体に「算数のテストで80点以上をとった人には自由時間が15分与えられる」という随伴性を適用する。A君が80点をとった場合には、A君に自由時間が与えられるが、他の子は、その子自身の成績によって自由時間が与えられる。

相互依存型:集団全体に対して同一の随伴性を適用し、その集団の成績によって強化子が与えられる随伴性。例えば、クラス全体に「算数のテストで全員が80点以上をとった場合に、全員に自由時間を15分与える。ただし1人でも80点未満の場合には、全員に自由時間は与えられない」という随伴性を適用する場合。

①全員が一定の基準を満たすことを強化基準とする研究、②全員の平均値が基準を満たすことを強化基準とする研究、③ランダムに選ばれた集団内の特定の個人の成績や、最も高い成績が基準を満たすことを強化基準とする研究がある。


1)小島恵 (2000). 発達障害児・者における集団随伴性による仲間同士の相互交渉促進に関する研究の動向. 特殊教育学研究, 38, 79-84. (解説)集団随伴性の研究について、海外の研究を中心にまとめられています。日本語でわかりやすいので、まずはこの論文を読んで整理しておくとよいでしょう。

2)Litow. L. & Pumroy. D. K. (1975). A brief review of classroom group −oriented contingencies. Journal of Applied Behavior Analysis,8,341−347. (解説)当時の実践研究のレビューを行なっており、多くの集団随伴性の文献で引用されている文献です。集団の随伴性を「依存型」「相互依存型」「非依存型」と3つに分類したのはこの文献が最初のようです。現在においてもこの分類が用いられているようです。1975年の文献なので古く、当時の研究の流れからは大きく変化がありますが、読んでおくとよいでしょう。

3)長谷川清美・倉光晃子・松下浩之・園山繁樹 (2008). 通常学級における「『やさしさキング』をめざそう!」の取り組み−「やさしい言葉かけ」の促進に向けた学級介入− 障害科学研究, 32, 173-183. (解説)やさしい言葉かけを行なっていた児童を3名まで選び、名前の発表やメダルの授与を行なった研究です。ベースライン条件が設定されていないので、独立変数の効果については不明ですが、介入に先立って行なったSSTの授業が4種類まとめられており、参考になると思います。ただし、Fig.3とFig.4が入れ替わっていたり、「なぜこのグラフなのか」不明な点もあります。

Little, S. G., Akin-Little, A., & O’Neill, K. (2015). Group contingency interventions with children—1980-2010: A meta-analysis. Behavior Modification39, 322–341. (解説)182の集団随伴性に関する研究論文を対象としてメタアナリシスを行ったまとめ論文です。2015年発行なので最近の研究も網羅されています。英語がわかりやすいです。

Jones, M. E., Allday, R. Allan, & Givens, (2019). Reducing adolescent cell phone usage using an interdependent group contingency. Applied Behavior Analysis, 52, 386-393. (解説)アメリカ南西部にあるオルタナティブハイスクールにて、クラス6人の集団に対して、授業中の携帯電話の使用時間減少を目的として行われた研究です。介入として、「授業中に携帯電話を使用しなければ、授業終了前10分はフリータイムになる(つまり携帯を使ってよい)」という随伴性を導入しています。(感想)結果として見事に効果的だったわけですが、序論にあったように「学校全体には携帯電話使用に関する規則がなかった」と書いてあるので、「まずそこで規則作ったらどうなの?」とも考えられます。そもそも手元にない状態にしておけば必要のない研究なわけです。

Pages: 386-393 | First Published: 29 January 2019