主訴自室にひきこもった状態の青年(19歳;以下、本人)に対して、「本人の話を聞いてあげてほしい」と言って、ご両親が来談した事例

本人は、高校を卒業後、大学受験に失敗し、それを両親から責められて以降、自室にひきこもっていました。その状況を、母親が困って来談しました。まずは、状況の整理をしたところ・・

状況①本人は、1日をほとんど2階の自室にて過ごしていました。母親は、カーテンの開け閉めのために部屋に入ることができましたが、母親が本人に対して話しかけたり、声掛けをしても返事はなく、母親と反対を向いて無視するか、うなずく程度でした。母親は心配して、食事や飲み物を運んだり、食器の後片付けを行っていました。

状況②一方、本人は、特定の友人の家に遊びに行くことがありました。また、インターネットのオークションサイトで出品していた私物が売れると、それを発送しに出かけることがありました。

状況③自室にはテレビやパソコンなどはないものの、スマートフォンを所持しており、インターネットをみたり、イラスト制作をして過ごしていることが推定されました。家族と会話がない状況でも、毎月の小遣いは、月5000円を支給されており母親が渡すと受け取っていました。

このような状況で、ご両親には、「本人が来談して会話をしても、改善は難しいし、そもそも続かない」ということをお伝えしました。そして、①自室にひきこもらず生活をできるようになること、②アルバイトをすることを目標として母親の対応について具体的に話し合いました。内容は、声掛けの仕方や本人への関り方などです。そして、検討した内容を、母親が生活場面において実行しました。

取り組んだ結果取り組んだ内容の詳細は伏せますが、母親が取り組む前は、家族との会話や食事が一切ありませんでした。しかし、取り組んだ後は、毎日家族と会話したり、一緒に食事をするようになりました。また、本人はアルバイトを始め、自分の携帯料金の支払いや生活費の一部を負担するようになりました。終結から一年後には、自らバイトで貯めたお金で専門学校に通うようになりました。